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1444 OOPer: 2007-04-20 05:42:27 3
東欧日記第2日 ちょいぼられたつぐない
7時前には目が覚める。時差も何も無い体質(要は体のリズムが全然できていない)というのも良いんだか悪いんだか。
 朝飯はアメリカンスタイルのビュッフェ(日本風に言うとバイキング)、ドイツなら沢山のハムにゆで卵、フランスならクロワッサンにカフェオレ、イタリアならコルネッティにカップッチーノ、これぞルーマニア風という朝飯は有るのだろうか。

9時半には部屋を出て地下鉄の統一広場駅へ。切符の自販機なんてしゃれたものは無い。窓口は3つあったが、1つは学割、もう1つは不明、割と空いてたもう1つ(単に「会計」の意味のCASAとしか書いていなかった)の窓口で「切符1枚下さい」(一応ルーマニア語のつもり)で無事に買えた。2回券(1回券というのは存在しない)が2RON(テレビショッピングとかでも値段はRONで書いてあったので、以後それに合わせる、会話の引用部は別)、切符は磁気ストライプの入った自動改札タイプ、ルーマニアには検札詐欺(これは本物の検札係員がやる)もあるそうなんだが、この切符でやるのはちょい大変だろう。
 ちなみにルーマニアの新レイはオーストラリアみたいなプラスチック紙幣で(「プラスチック幣」だけでは通じないのでこう書いたが紙の部分はない)、透かしの部分が完全に透明で向こう側が透けて見える。昨日怪しいタクシーの運ちゃんにもらったお釣りの紙幣はちぎれた部分をビニールテープでつないであったのだが、無事に使えた。
 駅はヨーロッパの地下鉄にしては明るい方で、それほど怖い感じはしない。車内には馬鹿でかい特殊警棒を抱えた警備員が巡回している。とりあえず来た列車に乗ったのだ(何か目的を持って乗れよって感じだが)が、M3の環状線だった。(今のところブクレシュティの地下鉄はM4まである。)半周してブクレシュティのメインゲートである北駅へ。

ブクレシュティの北駅周辺は、ルーマニアでも一番治安が悪い地域だと言うことになっているらしい。んが、まぁどこの国でも首都のメインの駅の周辺は治安が悪いもんである。4年前に訪れたスペインはマドリードのアトーチャ駅に比べれば随分ましだ。
 平日の朝9時半、駅は閑散としている。窓口は一杯あるのだが開いているのは少ないし、大して行列ができている訳でもない。ちなみに自販機なんて無いのは地下鉄に同じ。
 時刻表を見て、明日の予習をしようと思ったのだが、まだちゃんと決めていない上にかなり見にくい(とは言え、西ヨーロッパでは標準的な形式)ので、ざっと雰囲気を確かめただけで移動開始、目指すは凱旋門である。

と言う訳で、あまりヤバそうでも無かったので徒歩で移動したのだが、ブクレシュティの道は微妙に曲がっていたり、変な角度で交差していたりしたので、何度か自分の位置(観光案内所の類いは無いので、地図はガイドブックのもの)がわからなくなってしまった。
 途中初めての野犬に遭遇、だるそうな表情でアスファルトに横たわり、だらりと舌を長く垂らしている。典型的な狂犬病のパターン通りなんだが…。知らない人のために言っておくが、狂犬病は発症した時の致死率がほぼ100パーセント、恐ろしい病気なんである。近寄ったらちょいと動いたのでかなりビビってしまった。

写真だけ撮って、ヘラストラウ公園という大きな公園に入る。入り口付近の売店でお兄ちゃんに「水いくんら?」(ルーマニア語、ちょっと間違っていた。)「…」(あまり、聞き取れなった、お兄ちゃん2,50と書いて貼ってあるのを指差してくれる。)ちょい高いと思うが喉が渇いていたので購入、指一本指し示すと、英語で「ガス入り、ガス無し?」と聞いてきた。「ガス」とだけ応える。
 この公園、中にはちょっとした遊園地やミニゴルフやらも有ることになっているのだが、ミニゴルフはかなりしょぼかったので、遊園地も多分、多分である。のんびりとベンチに座って水を飲んでいると、やかましい町中に帰るのが嫌になるのだが、意を決して地下鉄へ。2駅移動してロマーナ広場へ。

昨日タクシーの中から見たブクレシュティの街は、主要な建物がライトアップされていてすんごくきれいだったのだが、昼間間近に見ると大したことは無い、というかあらまで見えてくる。博物館の類いにも入らずに昼飯場所探し。
 あちこち随分歩いたんだが、腰を落としてゆっくり食事ができそうな場所は、意外に少ない。ラテン系とは言ってもスペインやイタリアと違ってお昼をゆっくりと言う習慣は無いようだ。結局ガイドブックに載っていた、ホテル近くのレストランにたどり着いたのはもう1時だった。
 けどこのお店結構良い雰囲気、ディナー用に取っておけば良かったかも。チョルバと言うルーマニアのスープとシュニッツェル(ルーマニアまで来てまたシュニッツェルかと言わないで、一応ルーマニアの家庭でもポピュラーな料理の1つらしい)、飲み物はルーマニアのビール、これがあっさりして結構美味しい、少なくともイタリアやフランスのビールよりずっと美味い。
 私が頼んだチョルバは「チョルバ・デ・ブールタ」とか言うので、後で調べたら牛の胃袋らしい。ぱっと見はポタージュみたいに見えるのだが、臓物のだしが出て濃厚なお味。一緒にあんまり酸っぱくないサワークリームとトンガラシが出てきた。トンガラシは端っこを銀紙で包んであったから、手でつかんで食えと言う事なんだろうが、サワークリームは最初バターかクリームチーズかと思ってパンにつけてみたのだが、失敗。多分好みに応じてスープにぶち込むのが正しい食べ方だったのだと思う。
 シュニッツェルはまぁ普通にシュニッツェルでした。ちなみに付け合わせは別料金で頼まないといけなかった。デザートにアイスクリームが欲しかったのだが、無いと言われたのでコーヒーだけ、普通にコーヒーと頼んだらエスプレッソだった。
 
宿に戻って一休み、部屋に置いてあった無料の情報誌では、オペレッタ劇場の出し物も見当たらない。午後は博物館巡りでもするかなと思っていたのだが、結局夕方までずっと休んでしまった。ちょい、初日から歩きすぎたか。いきなり水ぶくれもできてしまった。

道に迷ってやっと辿り着いたドラキュラ伯爵ゆかりの旧王宮跡ってのは単なる廃墟、道に迷った原因の一つは再開発で道自体がガイドブックに載っているのとはかなり付け変わっている様子、ガイドブックに載っていたレストランの1つも単なる工事現場になっていた。
 と言う訳で、フロントで聞いていたホテルから20mほどのところにあるレストランへ。王宮跡へ行く前に覗いた時はまだ閉まっていたのだが、無事に開店したようだ。ヨーロッパの夕飯メインの店では、かなり遅い時間まで開店しないところがよく有る。
 食前酒に頼んだツイカはルーマニアの特産でかなり強いお酒、私は「お店のツイカ」って安い方を頼むつもりだったのだが、お兄さんのお勧めのままに高い方を頼んでしまった。値段は4倍くらいする。本当にそれだけの価値があったのかどうか不明。
 スープは鶏肉のチョルバ野菜入り、このまま麺を入れてラーメン屋を開けばおいしいと評判になるだろうって味だった。
 ワインは「お店のワイン」ってのを頼もうとしたら、小さいのは無いと言われたので割高のボトルワインに。メインのミティテイってのは、挽肉で作ったハンバーグとソーセージの中間みたいな食べ物、火加減もよくって美味しかった。

食事の間、店の中では民族音楽の生演奏、二人目の歌い手さんの時にどこから来たのか聞かれたから日本からだと言うと、演奏されたのは「つぐない」、ルーマニアの民族音楽ってのはどことなく日本の民謡臭い響きが有るのだが、歌詞カードを見ながらだったものの、なかなか美味く歌っていた。ちなみに店の主人みたいな顔をしてアコーディオンを弾いていたおじさんは、「さくらさくら」を弾いてくれた。
 さて、注文した分だけで、手持ちの残りレイの金額ぎりぎり、VISAが使えるかどうか確かめた後でアイスクリームを注文。大して混んでいるとも思わないのだが、随分出て来るのが遅い。コーヒーも頼むと、エスプレッソ?と聞いてきたのに結局出てきたのは、普通の日本風のコーヒーだった。

さて、別に急いでいる訳でもないのだが、生演奏も休憩に入ったようだし、ちょいと急かしてお勘定。6人がけの席を一人で長時間占領するのも悪いしね。
 出てきた伝票は手書きで100レイ以上の合計金額が書いてある。思わず近くに有ったメニューを引っ張りだして、お兄さんを呼びつけちゃったね。
 まずは30レイと書いてあるツイカから。「ツイカ15レイって書いてあるよ」「いや、あれは大の方だったから」(そんなものもちろん頼んでいない上に、メニューには50mLとはっきり書いてる、絶対に100mLも入るようなグラスじゃ無かった)「あれは、大じゃなかったよ」とここまでやってようやく、ツイカについては向こうが引き下がりそう、まだあるんだよ。
 15レイと書いてあるからボトルワインを頼んだのに30で書いてある。15レイの方を指差して「これのはずだろ」と言うと、1行上のを指差して「こっちの方だよ」なんて言い張ろうとする。デジカメを見せて、「じゃぁ見てみるか?」と言ったところで、伝票の裏に30レイ引いた金額を書き出した。まったくもう。せっかくいい気分で超お勧めの店と日記に書こうと思っていたのだが。後から見てみたら、パンが別料金になっている(地元の客にも別料金かどうかすごく怪しい)し、コーヒーは2杯分付けられていた(でかいカップで出てきた時に、違うよと言うべきだったか)。

ここはルーマニアなんだな。ルーマニア政府観光局の人、ブルガリアとの合同周遊ツアーを企画する前に、こういう店をなんとかしないと観光客は増えないよ。みーんなガイドブックに書かれちゃんだから。