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1097 OOPer: 2006-05-03 04:05:22 1
第8日頑固なヘント
8時半には朝食へ。ゆで卵も丸いドイツ風のパンもいっぱいあったが、ハムとチーズの種類は昨日と同じ。

ヘント(ヘは例によって喉痰音、通常日本に紹介される時の仮名表記はゲント)行きの片道切符、オランダ語で単語を並べて通じたのは良いが、金額を言ってくれたのを聞き取れなかった。なんとか最小限の旅行会話をオランダ語でこなすまでには後一息か二息必要か。
 インテルシティー(ICのオランダ語読みでイーセーと呼ばれる事も多いようだ)で約50分、アントヴェルペン周辺ではあまり見られなかった牛や羊もちらほら。
 今回乗車したのはピカピカの新型車両で、車内に次に停まる駅が表示されるので、駅が近づくごとに耳を済まさなくても良いので安心。そう言えば、ベルギーの列車は時刻表通りの発着をしていない事が多かった。オランダほど正確でない事と、発着番線の急な変更はしょっちゅうあるみたい。

ヘントの駅、ホームの端っこから半地下に降りるとそのままトラム乗り場になっている。壁には1ユーロと書いてあるのに、自販機で切符を買おうとすると1,20ユーロなり。よくわからんが、切符を買って、乗り込んだ後で車内で刻印。ベルギーではオランダみたいな全国共通回数券とかは無いようなので、短期滞在の時にはどの切符を買えば良いのかわからない。

ガイドブックに従って街の中心部に出ると、観光案内所はでっかい塔の半地下部分。最初ホテルリストを借りて見ていたのだが、値段に幅があってよくわからないので、窓口のお姉さんに探してもらう。シャワーは部屋の中に欲しいとか、80ユーロ以上ってのは高すぎるとか言って、3軒目に電話してもらったところに決定。ベルギーの観光案内所は手数料無料、ホテルリストや街の地図もたいてい只。ヘントでは更に、日本語の観光ガイドまであった。
 旧市街と普通の街の境目くらいにあったホテルは1晩60ユーロ、建物は古いけど、その分風情がある。ヨーロッパの古い建物で困るのはコンセントの数が少ない事くらいか。オランダの巨大ビジネスホテルやアントヴェルペンの駅前ホテルよりはずっといい感じ。

フロントで聞いたレストランは、今っぽい雰囲気のカジュアルな感じだが、愛想のいいお兄さんは一人だけで、他の店員は妙に暗い。まずはビールって頼んだのだが、「&$#%!ちょっと茶色くて美味しいよ」と言うのを頼んだら本当に美味しかった。ベルギーもドイツやチェコに負けずに各地に地ビールがあるらしい。つーわけでアントヴェルペンでも既にビールばっかり飲んでいた訳だが。
 メインディッシュは、この店特製てのは何か無いの?と聞いた時に最初に教えてくれた「なんたらハムのどうたら」。出てきたのを見てみたら、ハムと言うよりは単なる骨付き肉だった。ボリュームは満点、値段はオランダのグランカフェやアントウェルペンの駅前ブラスリー並み(メインディッシュが15〜20ユーロ)なんで、フロントのお姉さんが言っていたほどお手頃ではないが、これがディナーならまぁまぁ満足って所だろう。あいにくランチ用の軽いメニューは見当たらなかった。

只で見れる教会を2つ(ヘントの旧市街には馬鹿でかい教会が沢山ある)みて、鐘楼(案内書に書いてあった日本語ガイドにそう訳してあるんでそう言うことにしておく)って、観光案内所のあったでかい塔に入ってみる。丁度3時過ぎの英語ガイドツアーが始まったところなんで、なんとなく合流するはめになってしまった。オーストリア人(昔の支配者たち!)観光客を相手に歴史を物語るお姉さんの話はそれなりに面白かったのだが、とっても丁寧な説明で途中エレベーターもある塔の見学に1時間ばかりかかってしまった。
 ちなみに、昔はヘントでもブルジョワはフランス語をしゃべっていて、オランダ語しか話せない市民は2流に見られていたとか。平等の権利を獲得するには長い道のりがあったんだそうな。現在では義務教育も公共機関もオランダ語を使用している。ちなみに昼間のレストランでは会計をフランス語で頼んでしまった。「お勘定!」ってオランダ語でどう言うかまで学習が進んでないのだ。(ちなみに英語でどういうかもよく知らない。)

次いで塔から見えていた立派なお城、なんとか伯の居城とか言うのに行ってみる。20世紀初頭に修復されるまではボロボロになっていたらしい。6ユーロとちょいと高いのだが、お城好きなら行ってみても良いかも。現在も修復は続行中で、こぎれいな切符売り場も作っていたので、来年の今頃はもっと値上げしているかも。

街の真ん中を流れる運河沿いに見える景色はベネツィアにも負けないほどの美しさ。川辺には鴨川みたいにカップルが等間隔で佇んでいたり、美大生らしき集団がスケッチをしていたり。
 観光ポイントから少し離れると安いランチメニューの手頃なカフェやレストランもあった。ホテルで聞いたお店はディナーにとっといて、こういうお店探した方が良かったかも。ホテルを出た時点で1時近かったので、お腹空いてたんだよね。

ジモティーが集まる夕方のカフェでコーヒーより安いビールでのどを潤しながら、宿までの道を探す。ヘントの街の道もいろいろな方向の大小の道が入り組んでいて、ちょいとわかりにくい。途中トラピストの家なるビール酒場を見つけたので、晩飯のつもりで寄ってみた。
 百科事典みたいに分厚いメニューは殆どビールだけ、ビールの種類ごとに蘊蓄が語られている。但し、オランダ語だけなので、全然わからない。
 とりあえず「トリペル」と「ビールのつまみ」ってのを頼んでみる。トリペルってのはもちろん英語で言う「トリプル」のことなんだな。淡い黄金色で普通の地ビールみたいに少し未発酵の糖分が残っているかのような口当たりなんだが、やっぱアルコール度数9,5度は濃いわ。
 絶品の辛うまマスタードで食べるビールのつまみ(フルーツ、サラミなどのソーセージ、ピクルス、ゆで卵など)もまだ余っていたので、ドゥベル(ダブルの事、6,5度)も頼んでみた。こちらは黒ビールみたいな色合いと味。のどごしにも苦みのある深い味が広がるので、珍しいビールを味わいたいって人はこっちの方が良いかも。

宿に戻ってフロントのお姉さんに「今晩は、21、合ってるかな?」なんてオランダ語で言っただけで随分喜んでもらえた。こういうこともあるからマイナー言語学習は止められない。

写真は順に、お昼ご飯、ヘントの鴨川、ヴェストマレのドゥベル。