第7日雨の天文時計
気持ちよく2度寝したら、朝食が9時前になってしまった。未明には女の悲鳴みたいなのが響き渡っていたし、早朝には救急車も走り回っていた。さすが駅前だね。
パンの種類も少ないし、暖かい卵もベーコンもなし。国が違うからか、ホテルの格の問題かはよくわからない。ま、西ヨーロッパ(イギリスは除く)の標準的な朝飯では暖かいものは出ないんだけどね。
今日も朝からどんより曇り空。ポケットには昨日も活躍したビニールレインコートを入れている。
宿の隣が県立(ベルギーの行政区分はよくわからないがProvinceは県と訳しておく)ダイヤモンド博物館。6ユーロは高いと思ったんだが、「本当に地下鉄にダイヤモンド駅があるわ」ってのを確かめただけでは、ダイヤモンドの街(世界中のダイヤモンド流通量の8割がアントヴェルペンを経由するそうだ)に来た意味が無いので、ちょいと覗いてみる。
警備員が立っててガラスケースの奥にあったのは本物なんだろうか。むき出しで飾ってあったのは偽物のガラス玉だよね。輝きとか明らかに違いがあるのだが、本物の方はダイヤモンドの輝きを引き立てるように照明まで工夫した上でガラスケースの奥に鎮座していた訳だから、違って当たり前かもしれない。ま、自分でそこそこの鑑定眼があると言う自信のある人以外は駅前の安売りダイヤモンド屋では買い物はしない方が良いだろう。鑑定書の見本も展示してあったけど、あんな紙切れ簡単に偽造できるしね。
切符を買いたいのだが、現金の持ち合わせが少なくなってしまった。駅中にはATMがないし、駅の近くのATMでは、今日は使えません、ってなメッセージが出るしでお金が引き出せない。自販機らしきものは電車で15分の目的地まで往復で30ユーロだなんて絶対嘘みたいな値段が出て来るし、どっちみち手元のカードは使えなさそうだ。オランダと違って駅の窓口ではクレジットカードが使えるみたいなんで、小額でもカードでなんて思ったんだが、丁度窓口に長蛇の列ができていたので、もうちょいATM探しに歩く。
アントヴェルペンの街はアムステルダムやレイデンなんかに比べてATMの数が圧倒的に少ない。ダイヤモンド産業で栄えているとは言っても、ブリュッセルなんかから見れば地方都市の一つなんだろう。
バスターミナルの前にある24時間営業のATMコーナーで無事に現金を引き出せた。何年か前にCITIBANKの提携先がCirrusからPLUSに変更されたのだが、ヨーロッパではCirrusに比べて、PLUSの使えるATMはかなり少ないように思う。
「往復」って言い方もオランダとベルギーでは違ってたりするのだが、別にオランダ流にretour(フランス語で往復の「復」の意味だが、オランダでは往復切符の意味に使われる)って言っても通じた。オランダに近いからか、フランス語もわかるからか、ベルギーでもそれで通じるのかまでは、まだわからない。なんせベルギー入りは急遽決めたので、まだガイドブックのベルギーのページには殆ど目を通してないのだ。で、切符を見ると週末往復割引になっていた。今日は月曜日なのだがお休み(何度でも言うが、今日メーデーは「先進国」ではお休みである)なんで、週末往復割引の適用範囲なんだろう。
本日の目的地はリール。別に目的がある訳でなくて、アントヴェルペン近郊の街ならどこでも良かったんだけどね。
駅から市の中心部までの道がショッピングストリートになっているようだが、当然みんな閉まっている。アントヴェルペンでさえ、閉まっている店の方が多かったから、地方の街で閉まっているのは当たり前か。地方に来た方が安くておいしいものが食えるかと思ったのだが、開いているのは市庁舎周辺の大マルクト近くの店だけ、やっぱ無理そうだわ。
小さな街で30分もあれば主立った観光ポイントを外から眺めるのは終わってしまう。ピザなら多少は安くつくので、イタリア料理の店へ。ピザ1枚頼んだだけ。イタリア料理店でもイタリア語ができない店員がいたりするから、最初は英語で頼んだのだが、お勘定などはイタリア語で。
ジンメルの塔なんてのに向かう。時計職人らしい。太陽系の全惑星の大きさや重力を比較するようなデモが毎正時に動き出す天文時計ってのがメイン。メカニズム的にはもっとすごいからくり時計は世界のあちこちにあるけれど、マニアックって意味では世界有数かも。単なる時計職人ではなくて天文マニアだったらしい。
チケット売り場のおじさんはたどたどしい英語でわざわざ日本からやってきた客を大歓迎してくれた。こういう雰囲気が大好きなんで地方都市巡りは止められない。
次に行った大きな教会は、たどたどしいどころか、英語が殆どできない(簡単な単語はわかるようだった)おばさんが入り口に陣取っている。オランダでもベルギーでも教会の見学には金を取るって方針は同じみたいだね。1,25ユーロと書いてあるのに、0,35しかお釣りが来なかったから、ご寄進はやめておいた。
まだ1日半しか経っていない訳だが、ベルギーの英語できる率はオランダより大きく劣るように思う。ちゃんと英語で受け答えできたのは、観光案内所の係員とホテルのフロント係だけ。後はこちらの単語はわかるけど、ちゃんとした英語では受け答えできない、ってパターンが多かった。多分フランス語の方がはるかに通りが良いだろう。
知らない人のためにベルギーの言語事情を書いておく。ベルギーの公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語の3種類。公用語が3種類あると言ってもベルギー中3カ国語がどれも通じると言う訳ではなくて、地域によって言語圏が別れている。ここアントヴェルペンはオランダ語圏である。ローゼンダールからアントヴェルペンに至るまで街の標識や列車内の掲示もすべてオランダ語だけだった。
ベルギーで話されているオランダ語をフラマン語とか言って、普通のオランダ語とは全然違うものみたいな書き方をしている場合があるが、もう完全に全くオランダ語である。もちろん微妙なニュアンスの違いがあったり、さっき書いた切符の呼び方なんて細かい違いはあるが、普通に旅行するのに困るような言い回しの違いは無い。現在両国政府の国語審議会は正書法など言語の標準化に関しては必ず共同で会議を開いているし、衛星放送の普及などもあって、今後ますます差は無くなるだろうと思う。
地方都市とはいえ、平日ならばもうちっと賑わっているであろうリールを後にする。ちなみに5月の第1日曜日は花市場ってイベントがあるらしい。今年は5月の7日、ゴールデンウイークからはずれてしまっているが、来年以降ベルギーに来る予定の人は是非どうぞ。
アントヴェルペンに戻るとホテルに戻って濡れたものを渇かす。駅前ホテルはこういう時はやっぱり便利だね。しっかり昼寝してしまった。
目が覚めるともう5時近く、もうちょっと街巡りなんて思っていたけど、夕食場所探しの時間だね。昨日みたいにオランダとの比較級で安いなと思っても、はずれ、って気分になっては面白くないので、ガイドブックに載ってる店に行ってみる。途中レンブラントハウスってのも覗いてみたんだが、閉まってるのを外から覗いても単なる古い家なんで、すぐに退散。カテドラルに向かう。
雰囲気は悪くなかったんだけど、やっぱこんなもんか、ってのが正直な感想。オランダよりは選択の幅が広くて色んな店があるんだけど、美味しそうって雰囲気の店はオランダ以上に高そうだわ。私の足くらいあるスペアリブ3枚をビール2杯で平らげた。ベルギーはビールの種類も多いんだけど、単にビールと言うと普通のピルスが出て来る(うまいベルギービールが一杯あるのにチェコビールを出す店も少なくない)ので、いろいろ飲みたい人は予習しといた方が良いだろう。この店では何も言わなくてもメインディッシュにはフリットが(マヨネーズと一緒に)付いてきた。多分ベルギーではこの方が標準なんだと思う。客あしらいはオランダと大差なかったので、お釣りを残らずもらって店を出る。
昨日ビールを買ったナイトショップも今日はお休み(しつこいが、今日はメーデー、一部の後進国を除いて全世界的にお休みです)らしい。昨日のポテトチップスが余っているので、別の店でビールを探す。やっぱハイネケンとかのメーカーものは普通のスーパーで買うよりちょっと高い。この手の店で観光客面していきなりレジに商品渡すとすんごい高い価格を吹っかけられる時もあるので、値段を確かめてから。そのうち、安いのならこっちにあるぜ、なんてレジの外にいたお兄ちゃんが教えてくれた。オランダのレイデンのスーパーで買った50円ビールはさすがに味音痴の私でもうなるほどまずかった(それでも飲み干したのだが)が、このビールは普通のビールの味がするなと思いながら、缶ビールを飲みつつ日記を書く。間もなく夜の9時になろうかと言うベルギーの空は曇り空ながらまだまだ明るい。さて、明日はどこに行こうかな。平日の賑わいを取り戻したベルギーの街は一体どんななのか楽しみだ。
写真はリールのジンメルの塔。(今日は雨で、撮った枚数が少ない上に、写真を沢山送信すると携帯のパケット代が馬鹿にならない事が判明したので1枚だけです。)
パンの種類も少ないし、暖かい卵もベーコンもなし。国が違うからか、ホテルの格の問題かはよくわからない。ま、西ヨーロッパ(イギリスは除く)の標準的な朝飯では暖かいものは出ないんだけどね。
今日も朝からどんより曇り空。ポケットには昨日も活躍したビニールレインコートを入れている。
宿の隣が県立(ベルギーの行政区分はよくわからないがProvinceは県と訳しておく)ダイヤモンド博物館。6ユーロは高いと思ったんだが、「本当に地下鉄にダイヤモンド駅があるわ」ってのを確かめただけでは、ダイヤモンドの街(世界中のダイヤモンド流通量の8割がアントヴェルペンを経由するそうだ)に来た意味が無いので、ちょいと覗いてみる。
警備員が立っててガラスケースの奥にあったのは本物なんだろうか。むき出しで飾ってあったのは偽物のガラス玉だよね。輝きとか明らかに違いがあるのだが、本物の方はダイヤモンドの輝きを引き立てるように照明まで工夫した上でガラスケースの奥に鎮座していた訳だから、違って当たり前かもしれない。ま、自分でそこそこの鑑定眼があると言う自信のある人以外は駅前の安売りダイヤモンド屋では買い物はしない方が良いだろう。鑑定書の見本も展示してあったけど、あんな紙切れ簡単に偽造できるしね。
切符を買いたいのだが、現金の持ち合わせが少なくなってしまった。駅中にはATMがないし、駅の近くのATMでは、今日は使えません、ってなメッセージが出るしでお金が引き出せない。自販機らしきものは電車で15分の目的地まで往復で30ユーロだなんて絶対嘘みたいな値段が出て来るし、どっちみち手元のカードは使えなさそうだ。オランダと違って駅の窓口ではクレジットカードが使えるみたいなんで、小額でもカードでなんて思ったんだが、丁度窓口に長蛇の列ができていたので、もうちょいATM探しに歩く。
アントヴェルペンの街はアムステルダムやレイデンなんかに比べてATMの数が圧倒的に少ない。ダイヤモンド産業で栄えているとは言っても、ブリュッセルなんかから見れば地方都市の一つなんだろう。
バスターミナルの前にある24時間営業のATMコーナーで無事に現金を引き出せた。何年か前にCITIBANKの提携先がCirrusからPLUSに変更されたのだが、ヨーロッパではCirrusに比べて、PLUSの使えるATMはかなり少ないように思う。
「往復」って言い方もオランダとベルギーでは違ってたりするのだが、別にオランダ流にretour(フランス語で往復の「復」の意味だが、オランダでは往復切符の意味に使われる)って言っても通じた。オランダに近いからか、フランス語もわかるからか、ベルギーでもそれで通じるのかまでは、まだわからない。なんせベルギー入りは急遽決めたので、まだガイドブックのベルギーのページには殆ど目を通してないのだ。で、切符を見ると週末往復割引になっていた。今日は月曜日なのだがお休み(何度でも言うが、今日メーデーは「先進国」ではお休みである)なんで、週末往復割引の適用範囲なんだろう。
本日の目的地はリール。別に目的がある訳でなくて、アントヴェルペン近郊の街ならどこでも良かったんだけどね。
駅から市の中心部までの道がショッピングストリートになっているようだが、当然みんな閉まっている。アントヴェルペンでさえ、閉まっている店の方が多かったから、地方の街で閉まっているのは当たり前か。地方に来た方が安くておいしいものが食えるかと思ったのだが、開いているのは市庁舎周辺の大マルクト近くの店だけ、やっぱ無理そうだわ。
小さな街で30分もあれば主立った観光ポイントを外から眺めるのは終わってしまう。ピザなら多少は安くつくので、イタリア料理の店へ。ピザ1枚頼んだだけ。イタリア料理店でもイタリア語ができない店員がいたりするから、最初は英語で頼んだのだが、お勘定などはイタリア語で。
ジンメルの塔なんてのに向かう。時計職人らしい。太陽系の全惑星の大きさや重力を比較するようなデモが毎正時に動き出す天文時計ってのがメイン。メカニズム的にはもっとすごいからくり時計は世界のあちこちにあるけれど、マニアックって意味では世界有数かも。単なる時計職人ではなくて天文マニアだったらしい。
チケット売り場のおじさんはたどたどしい英語でわざわざ日本からやってきた客を大歓迎してくれた。こういう雰囲気が大好きなんで地方都市巡りは止められない。
次に行った大きな教会は、たどたどしいどころか、英語が殆どできない(簡単な単語はわかるようだった)おばさんが入り口に陣取っている。オランダでもベルギーでも教会の見学には金を取るって方針は同じみたいだね。1,25ユーロと書いてあるのに、0,35しかお釣りが来なかったから、ご寄進はやめておいた。
まだ1日半しか経っていない訳だが、ベルギーの英語できる率はオランダより大きく劣るように思う。ちゃんと英語で受け答えできたのは、観光案内所の係員とホテルのフロント係だけ。後はこちらの単語はわかるけど、ちゃんとした英語では受け答えできない、ってパターンが多かった。多分フランス語の方がはるかに通りが良いだろう。
知らない人のためにベルギーの言語事情を書いておく。ベルギーの公用語はオランダ語、フランス語、ドイツ語の3種類。公用語が3種類あると言ってもベルギー中3カ国語がどれも通じると言う訳ではなくて、地域によって言語圏が別れている。ここアントヴェルペンはオランダ語圏である。ローゼンダールからアントヴェルペンに至るまで街の標識や列車内の掲示もすべてオランダ語だけだった。
ベルギーで話されているオランダ語をフラマン語とか言って、普通のオランダ語とは全然違うものみたいな書き方をしている場合があるが、もう完全に全くオランダ語である。もちろん微妙なニュアンスの違いがあったり、さっき書いた切符の呼び方なんて細かい違いはあるが、普通に旅行するのに困るような言い回しの違いは無い。現在両国政府の国語審議会は正書法など言語の標準化に関しては必ず共同で会議を開いているし、衛星放送の普及などもあって、今後ますます差は無くなるだろうと思う。
地方都市とはいえ、平日ならばもうちっと賑わっているであろうリールを後にする。ちなみに5月の第1日曜日は花市場ってイベントがあるらしい。今年は5月の7日、ゴールデンウイークからはずれてしまっているが、来年以降ベルギーに来る予定の人は是非どうぞ。
アントヴェルペンに戻るとホテルに戻って濡れたものを渇かす。駅前ホテルはこういう時はやっぱり便利だね。しっかり昼寝してしまった。
目が覚めるともう5時近く、もうちょっと街巡りなんて思っていたけど、夕食場所探しの時間だね。昨日みたいにオランダとの比較級で安いなと思っても、はずれ、って気分になっては面白くないので、ガイドブックに載ってる店に行ってみる。途中レンブラントハウスってのも覗いてみたんだが、閉まってるのを外から覗いても単なる古い家なんで、すぐに退散。カテドラルに向かう。
雰囲気は悪くなかったんだけど、やっぱこんなもんか、ってのが正直な感想。オランダよりは選択の幅が広くて色んな店があるんだけど、美味しそうって雰囲気の店はオランダ以上に高そうだわ。私の足くらいあるスペアリブ3枚をビール2杯で平らげた。ベルギーはビールの種類も多いんだけど、単にビールと言うと普通のピルスが出て来る(うまいベルギービールが一杯あるのにチェコビールを出す店も少なくない)ので、いろいろ飲みたい人は予習しといた方が良いだろう。この店では何も言わなくてもメインディッシュにはフリットが(マヨネーズと一緒に)付いてきた。多分ベルギーではこの方が標準なんだと思う。客あしらいはオランダと大差なかったので、お釣りを残らずもらって店を出る。
昨日ビールを買ったナイトショップも今日はお休み(しつこいが、今日はメーデー、一部の後進国を除いて全世界的にお休みです)らしい。昨日のポテトチップスが余っているので、別の店でビールを探す。やっぱハイネケンとかのメーカーものは普通のスーパーで買うよりちょっと高い。この手の店で観光客面していきなりレジに商品渡すとすんごい高い価格を吹っかけられる時もあるので、値段を確かめてから。そのうち、安いのならこっちにあるぜ、なんてレジの外にいたお兄ちゃんが教えてくれた。オランダのレイデンのスーパーで買った50円ビールはさすがに味音痴の私でもうなるほどまずかった(それでも飲み干したのだが)が、このビールは普通のビールの味がするなと思いながら、缶ビールを飲みつつ日記を書く。間もなく夜の9時になろうかと言うベルギーの空は曇り空ながらまだまだ明るい。さて、明日はどこに行こうかな。平日の賑わいを取り戻したベルギーの街は一体どんななのか楽しみだ。
写真はリールのジンメルの塔。(今日は雨で、撮った枚数が少ない上に、写真を沢山送信すると携帯のパケット代が馬鹿にならない事が判明したので1枚だけです。)