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1465 OOPer: 2007-04-25 05:08:16 2
東欧日記第7日 超インフレのシビウ
朝食にレストランに入ったら、メニューを渡された。ビュッフェ形式じゃなくて、アラカルトで自分で選ぶのだな。ベーコン・フライドエッグ(通称目玉焼き)・パンにカップッチーノの質素な朝食。一晩40レイの安宿と殆ど変わらんな。

時計台は入場が5レイ、カメラ30レイ、仕掛け時計の裏側に興味がある人以外は展示物には期待しない方が良い。街で一番目立つ高い建物で、展望テラスまでは登れるので景色はまぁまぁか。
 30分も見ていないが、駅までそこそこ距離も有るので、のんびりと歩き始める。バス駅のインフォメーションに人がいたので、シビウまでいくらか聞いたら、最初5万とか何とか、旧レイの値段だったのかも知れない。で、言い直して、50RON。冗談じゃない、その値段出したらブクレシュティまで行けちゃうはずだよ。英語があまり得意そうじゃ無いおじさんに聞いたので、言い間違えただけかも知れない(私はよく15と50を言い間違える)が、ここはルーマニアだし、本当にそれだけ取られるかも。
 鉄道駅のインフォメーションでシビウ行きを聞いてみる。11時間20分とか言われてしまった。さすがに11時間もかけたく無いなと思って掲示を見ると、シビウまでは95km、いくら鈍行でゆっくりだと言っても11時間はかからないだろうと思って時刻表を見直すと、11時21分に1本列車が有る。さては、このことか。そう言えば、うちのマックも1時間毎に〜hoursと唸っているな(1時でも複数形なのは間違ってると思うんだが)。
 切符販売窓口で今日のシビウ行きは有るかと聞くと、乗り換えになるよと教えてくれた。時刻は11時丁度くらい、11時21分の列車で丁度じゃん、よほど日頃の行いが良いのだな。

時刻表には11時12分に4番線に到着すると書いてある、今回はちゃんと確かめてから乗って番線間違えて焦ったりしないもんね。4番線に来たおんぼろ普通列車、ホームは低いのに乗車口はやたら高いと言う古典的ヨーロッパ風列車に飛び乗った。
 11時18分、列車はゆっくりと出発、いや、待て、18分?!列車って遅れる事はあっても3分も早めに発車するなんてことがあるだろうか…。
 あれこれ考える暇もないうちに車掌が検札に来てくれた、やはり乗り間違えたみたい。英語は全く出来ない車掌だったのだが、出発直前の猛勉強の甲斐有って「降りる」「別の」と言う単語は聞き取れた。次の駅で降りて別の列車に乗り換えろと言う事だろう。

次の駅が近づくと、車掌がホームとは反対側の扉を開けて、こちらを呼んでいる。なんといちいちホームに降りずに隣の線路(くどいようだが間にホームは無い)に止まっている列車に乗り換えろと言う事らしい。理解できたところでえいやと乗り込もうとしたら(低いとはいえホームからでも乗り込みにくいのに、直接線路からなのだよ)、目の前で発車されてしまった。下手したら大怪我もんだぜ。
 英語の出来ない車掌と、この後の相談をしないといけないのかなと思ったら、なんと列車無線で相手の列車を呼び出して止めさせてくれたよ。やってくれるわルーマニアの車掌さん、今までレストランでは安心して食事ができないし、思っていたほど快適な宿に手頃な値段で泊まれる訳ではないしで、ちょいと嫌気がさしかけていたのだが、すっかりルーマニアが気に入っちまった。

さて、そうやって乗り込んだ車両、それでなくてもルーマニアではやたらと目立つ東洋人(ヨーロッパの大抵の街には中華料理やとイタリア料理屋が有るもんだが、ルーマニアでは中国系は控えめ)、車両内の注目を一身に集めている所へ、一際熱心にこっちに来いと手招きするおばあさん、家族連れだったのだが、一つ席を空けてここに座れと言う。単に人懐っこいだけのおばあさんかと思った私は大甘でした。
 まずはひとしきり「モネーダ」「フォト」を繰り返す。要は可愛い孫の写真を撮らせてやるから金よこせと言う事らしい。「ノー」とか「ヌー」とか言って取り合わなかったら、おばあさんも私の隣の男の子も、しきりに手を口元で動かす仕草の連発。もっとお喋りでもしようと言う事かと思った私は大甘でした。
 おばあさんが飲み物飲む仕草をしたのでようやくわかった、何か食い物か飲み物が有ればよこせと言う事らしい。ミニマーケットの水で詰め替えたペットボトルを女の子の方に渡すと大喜びされてしまった。男の子は悔しそうに見ている。
 ポケットに日本から持って来ていたビタミンCキャンディーが有るのを思い出した。悔しがっている男の子の方に渡したら、早速妹と一緒に口に入れて、途端に渋い顔。それで無くてもこっちのお菓子はやたら甘いものが多いから、レモン味はお子様にはきつかったようだ。笑いをこらえて観察させてもらった。
 車掌が来たら、切符を見せずに直接札を握らせてたから、小額の賄賂で何往復もしながら、「営業」しているのかも。

乗換駅のメディアシュは、まぁちょっとした街って感じ、妙に近代的なデザインの駅舎があちこちボロボロになっているのが、うら寂しい。さっきのおばあさん一家も降りてたから見つからないようにこっそりハム入りランゴシュ1,20レイで昼飯。水は無くなってしまったので、最低記録更新だな。

シビウ行きは、間違えて乗った奴よりもっとぼろい車両、なんせあちこち縫い合わせた革張りのシートは傾いている。今度は残念ながら(?)平穏無事。2時過ぎにシビウの駅に着く。

シビウは想像していたより大きな街。今年のヨーロッパの文化首都だそうな。そう言えば、4年ほど前にジェノヴァに行った時にも街中にそんな看板が立ってたな。と言う訳で、シビウの街は駅舎から大広場(当然小広場ってのもある)にかけて、シギショアラなんて眼じゃないよってレベルに工事中。工事の邪魔しながら(ジモティーのまねしただけだよ)鉄道駅の隣のバス駅で、次の予定地へ行くバスの時刻を確認してから、街の中心部へ。

ピカピカだよ大広場、これがイタリアなら、テラス席満開で人々が埋め尽くしているはずなんだが、そう言う店はほんのわずか、なんか奇麗にはしてあるけど活気がなくて全然面白みがない。何より喉が渇いてる(ルーマニア到着以来、これでもかってくらいの晴れ続き)顔の焼け具合も怪しいインド人で通りそうな感じになって来た。
 まずは、観光案内所へ行って、ホテルリストと街の地図が無いか聞いて見た。ホテルリストは無かったので、ホテルも載っている無料のタウンガイド(殆ど役に立たなかった)をもらう。街の地図の方は、ルーマニアに来て初めて無料のをもらえた。

大広場から出た後の大通りには傘を立てたテラス席が目立ってくる。適当に空いている傘の下に座ったのだが、よその街よりビールの値段が高い。ま、飲んじゃった訳だが。国産ビールが4レイ(500ml)、200円ほどだから、それでも日本に比べるとだいぶましか。こっちでは、コーラとビールがほぼ同じ値段、水はそれよりちょっと安いのが相場のようだ。

ガイドブックにはコンチネンタルがわずか100レイで泊まれると書いてあるから聞いてみた。フロントの表示にはシングル250以上と書いている。フロントのお兄さんは、「あいにくダブルしか空いておりません、350(位だったと思う)になりますが」だとさ。ちなみにこの手のホテルは飛び込みの客を嫌がる事が多くて、部屋が空いていても高い方の値段を言う事はよくある、同じホテルが旅行社通して半額近くで泊まれたこともある。
 カンカン晴れ、荷物満タン、足痛いの中を大広場の方まで戻って、ガイドブックに80レイ足らずの値段が書いてあった民宿に行くと「150レイ」とな…。また来るかもと言って、別のホテルを探しに歩く。
 延々歩いたあげく、観光案内所でもらった地図を見て、軍の施設と隣り合わせの大きな公園の端っこにあるホテルに目標を定めた。シビウについては、このガイドブックは当てにならない。「安くていい宿に泊まれる」なんて書いてあるんだぞ。いつの話だ、絶対2006年10月のデータではないな。いくらヨーロッパの文化首都だかなにか知らないが、半年で2倍以上の値段にはしないだろう。

164レイ、フロントのマダムは殆ど英語はしゃべれないようだが、とりあえず支障がない程度には話は出来る。バンコマット(ATMのこと、イタリアが言い出しっぺだと思うが、ヨーロッパ全土で大抵通じるみたい)で金降ろさないと、すぐには払えないよというのも通じていた。つまりカード不可。
 建物自体が古びて来ているのは仕方ないとして、まぁ、きれいに改装してある方だ。設備不明の民宿に150レイ出すよりは良いだろう。バスタブは有ったが、栓が見当たらないので、シャワーだけ。
 一つ予想外だったのは、無線LANが使えた事。スピードは遅いからADSLっぽいが、ま、日記用の写真を送信するくらいには使える。あれやこれやで、あっと言う間に7時を回った。街の観光なんてしていない、シビウには写真をアップしに来たと言う事で。

レストランを覗いたら、ジモティーっぽいおやじたちが飯を食っている。空なら外でと思ったのだが、ホテルのレストランに入ってみることにした。
 メニューを見る限り、やはりちょっと高め。でも、あちこちのホテルの価格やカフェのビールの値段からして、この街の相場なのかも。と言う訳で、お勧めメニューの中に有った「牛の筋肉ベルリン風」なるものを頼んだ。本日はスープは無し。
 いや、これがおいしかった。なぜかトーストの上に牛肉が乗ってるんだが、とろとろの牛の旨味がたっぷり入ったソースがかかっていてとっても美味、21レイってのはルーマニアでの一品としては高い方だと思うのだが、それだけの価値はあるよん。

はっきり言って、絶対にこの街に見たいものがある、と言うんでない限りシビウの街に来る事は勧めない。ホテル代を筆頭によその街より物価は高いし、これと言った見所が有る訳でもない。でも、美味しいものが食えたので、何となく嬉しかったりする今日この頃なのだ。