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1137 OOPer: 2006-05-18 04:47:49
第23日サイクリングな1日
朝飯は食パンに固茹で卵にハムチーズが何種類かのオランダ風。この島の観光客は殆どオランダ人(オランダも場所によってはドイツ人観光客の方が多いところもあった)だから、これがオランダの標準なんだと言うことにしておく。ガイドブックには「コンチネンタル」なんて一括りにしてあるけど、ハムチーズに暖かい卵が出てくるドイツ・チェコ・オランダなんかと、パンとコーヒーだけのフランス・イタリアとは明らかに違うよね。ま、大きなホテルでは何種類かのメニュー用意してビュッフェ形式にしてあるからわかりにくいけどね。

部屋を変わらないといけないから、荷物をまとめて鍵を渡して宿を出る。本日は快晴微風、絶好の行楽日和じゃん。
 まずは街中(「まちなか」であって「まちじゅう」では無い)の自転車屋に寄って本日の足を調達。値段表には変速機無しが4,50ユーロ、3〜4段の変速機付きが5,50ユーロ(共に1日、他にもマウンテンバイクやタンデムタイプなどいろいろあったがちゃんと見ていない、「1日」でない場合、1時間単位でなく1週間単位)。おばさん何も言わなかったら最初に5,50ユーロと書き込まれてしまった。ま、1日乗ってわかったけど、街乗りならともかく、ちょいと島内をサイクリングって人は変速機付きにした方が無難です。ちなみに今日の自転車はハンドブレーキのある奴ね。

海岸沿いの道をまっすぐに東向きに走る。昨日の夕方も見たのだが、この島の海岸は干潮になると沖合まで数百mの巨大な干潟が出現する場所がいくつもある。浅瀬をたどると対岸まで歩いて行けちゃうとか言う話だが、思わず納得できる超巨大干潟があちこちに。
 浅瀬ばっかりだと船はどこを通るんだって感じだが、やはり座礁する船は多いようで、地図によると島の西端には難破船救助センターなるものがある。お庭に錆び付いた碇やなんかを無造作に置いている家もあるのだが、難破船からかっぱらってきたものかもしれない。普通の街だと街の真ん中の高い塔は教会か市庁舎だが、この街の真ん中は灯台である。

自転車道と牧草地の間には柵が無いところの方が多い。羊の家族たちが時々道を塞いでいる。親羊はちょうど毛を刈り取られたばかりでみんな寒そう、子羊たちはまだ毛が生えそろってなくて、やはり寒そう。最初はヤギかと思ったよ。
 途中にある村に向かう分かれ道をいくつかやり過ごすと、海岸から離れ、やがてボスプラーツ(灌木平原)と言う看板のある場所にでる。ここまでが約1時間、道標には17キロと書いていた(多分私が通ったコースではもうちょっと短い)から、足腰に自信のある人がぶっ飛ばせば半分くらいでつけるだろう。

きれいに舗装されていた自転車道が、ここから砂利道に変わる。山道とまでは言わないにしても起伏のある砂利道は運動不足の身には応える。それでもえっちらこいで行くと、自転車置き場で数人の人が一休みしている。
 その先には砂利道さえ無かった。藁を敷き詰めたのか、単に轍に踏みつぶされた草が枯れているのか、延々と枯れ草が道である事を示しているだけ。
 人影が見えるのは数キロ先だろうか、さっきの砂利道が天国に思えるほど走りにくい。藁敷の轍は見た目よりでこぼこが多く、簡単にハンドルを取られてしまう。自然保護地域のせいで看板さえ少ないのだろうか、それとも自分が苦労したと思っている割には前に進んでいないのだろうか。次の目標地点を示す看板にも出会えないまま、目の前は藁敷から、単なる砂地に変わってしまう。数メートル漕ごうとしてみたが、すぐに諦めた。変速機が付いていたって、ノーマルタイヤの街チャリでは殆ど前に進まない。島東端へ自転車で到達の夢を諦めて引き返す。

こんなに長かったかなと、既にくたくたになりつつある体を鞭打って、内陸側の道を進む。オーステルエンド(「東の端」の意味、ベルギーにオーステンドって街があるがそれも同じ意味、でもベルギーのオーステンドは西の端にあるんだよね)って街で開いてるカフェ(何度も言うが、ヨーロッパのカフェやレストランは営業してるのかどうかわからない事が多い)でお昼ご飯。ここのお上さん(?)がとっても美人。テルスヘリング島へ行く人は是非立ち寄ってみよう。

小さな街をいくつか通り抜けると、クランベリー工房の看板を挙げた小さな建物が見えてくる。この島はクランベリーが特産らしく、ジャムやらお酒やらが土産物屋に売っている。到着したら丁度1時半、1日1回の実演が始まる時間だったのだが、現れたお姉ちゃん、英語で話しかけると、「全部オランダ語だから、あなたには…、ショップでも見てってね」だとさ。どうせ英語でもわからないところはわからないので構わないと言っておけば良かったのだが、値段が書いてなかったのでパスした。興味のある人は島のvvvで尋ねれば割引切符を購入できます。
 地図によるとそこから数分で珈琲風車(英語ならコーヒーミルだよ)。着いてみると、羽の回っている本物の風車が、カフェになっていた。中を覗いてみたら単なる喫茶店。ひげもじゃ親父が他の客にデザートを持って行くところ。もしかしたら本当に風車で引いたのかもしれない珈琲を飲んでも良かったのだが、美人お上の店で珈琲まで頼んじまったので、お腹がちゃぷちゃぷだからやめといた。

波止場のある西テルスへリングの街に戻る前に、北側の海岸を目指す。海岸の前には高級リゾートホテルだか高級養老院だかわからない立派な建物の他はロッジが数軒。浜辺には海の家らしい建物は1軒だけ。
 さっきボスプラーツ(島の東端に近い場所)でもちょいと覗いたのだが、延々と白い砂浜がつながっている。改めて地図を見ると島の北側海岸は西端から東端までの約30kmが全部砂浜になっているらしい…。
 いくら満潮時にはかなりの部分が海に浸かるとはいえ、30kmも続く真っ白な砂浜なんて見た事あるかい。5月の下旬はヨーロッパのヴァカンスシーズンには早いけど、今日のように天気のいい日には十分初夏の陽気。北海の水は冷たくて波が高いから遊泳には向かないかもしれないけど、砂浜でひなたぼっこするには十分じゃん。これがイタリアなら浜辺の端から端までお店が埋め尽くしてるよ。
 探せば日光浴のお姉ちゃんを見つけることができるかもしれないが、それまでに砂地を何キロも歩かないと行けなさそうなので断念した。

宿に戻ると午後の3時、今度の部屋にはテラスがあるし、テレビのリモコンが置いてあったが、やっぱり基本は修学旅行宿だよね。だって、ヨーロッパのリゾート地で普通こんなにシングルルーム作らないよ。
 シャワーを浴びて砂を落として一休みしていたら、もう4時半近い。自転車を返す前にもう一走り。島の西端部分の自転車道をまだ走っていない。でも、干潟の向こうに続く灌木の大平原には自転車道は延びていなかったのだな。別の地図によると軍のなんたらがあるらしい。伊豆諸島のどっかみたいにミサイル基地ではないだろうけど、簡単には入れないんだろうね。
 途中で、さっきの海岸からの帰り道と交差する。同じ道では面白くないので、そのまま突っ切って別の道にはいったんだが、それでも1時間ほどで西テルスヘリングの街中へ。そのまま自転車を返したら、まだ5時半にもなっていない。店仕舞いを始めていた港が見えるカフェで珈琲を一杯。

昨日昼飯を食った港の見える温室テラスで晩飯。安い「今週の料理」があるからと思って入ったんだが、「定食」が魚料理だったんで、変更。Zeewolfって英語だとseewolfだけどどんな魚?名前だけだと熱帯魚か鮫って感じだね。前菜が鶏肉のスープ、デザートがクランベリーのかかったバニラアイスでした。
 街のレストランを覗いてみると、どこも昨日より一杯客が入っている。SPARで買い物を済ませてホテルに戻るとこっちのレストランはガラガラ。昨日は寒かったから、みんな宿のレストランで飯食ってたのね。

今日も水みたいなハイネケンで日記書き。オランダのスーパーの冷えたビールって大抵これしか無いのだな。
 9時半近いが北海を覆う空はまだ明るさを残している。テラスの向こうには街の灯台の灯りが見えている。明日足腰立つだろうかだけが心配なリゾートの一夜なのだった。

写真は本日の定食19,95ユーロ